≪本日限定≫ 必見! 酔いどれ歌舞伎
ああ、本日までの期間限定なんて惜しい、観たい、何度でも見ていたい!
松竹による歌舞伎座の三月歌舞伎全幕の無料配信は残念ながら本日まで。
三月歌舞伎は雛祭り、お花見にふさわしく? 酔拳よろしく酔いどれ舞踊がみどころ。
お雛様たちが飲んだくれる「雛祭り」もはなやかだし、太郎冠者を演じる松本幸四郎さん(もと染五郎。松たか子さんのお兄さんね)が酔っぱらいながら高下駄タップダンスを踊り狂う「高坏」は必見! お見事! 神業!
これ、昭和初期にそのころはやっていたタップダンスを歌舞伎に取り入れたくって6代目尾上菊五郎が初めて演じたオリジナル作品。そのあと17代目、18代目中村勘三郎が引き継ぎ、その息子、現勘九郎(「いだてん」の金栗四三さんね)市川海老蔵(はみなさんご存じか)の当たり役になったそう。
たしかにこの面々といい今回の松本幸四郎さんといい、芸達者でかなりの身体能力じゃないとこの役はできなさそう。あの高い下駄でえびぞったり、くるりとまわったり、もう目が離せない。一歩間違えたら大惨事。危険! サーカス並み。
もう本当、はらはらどきどき、飽きなくて何度も何度も観てしまう。
全体で約30分、タップダンスは25分から始まるから、時間がなかったら最後の5分だけでも見て!
ちなみにこの「高坏」という演目、能や狂言の衣装や舞台をまねた松羽目物のようですが、まったくのオリジナル。
たしかに次郎冠者が主人である大名に言われて高坏を探し、悪徳商人に騙されて高下駄を交わされ、酔いつぶれて大暴れ、なんて狂言にありそうなストーリー。ついつい飲んじゃうようすなんかも有名な「棒しばり」みたいですよね。(私は狂言版も歌舞伎版も大好き!)
かの有名な「そろりそろり」なんかもあって、きっと昭和初期のころから面白がって狂言のパロディをしていたんじゃないかな。そのあたりも必見です。
そしてYouTubeで故中村勘三郎さんの「高坏」の映像も発見! これは勘九郎時代のですね。30代くらいのときかしら。体もキレキレ!
幸四郎さんのはあほだけれどいつもは結構モテたりする(だって手足が長くてさりげない動きがかっこいい)次郎冠者が、へべれけになってダメ男となり、しっちゃかめっちゃかになるような可笑しさで、勘九郎さんのは生粋の大馬鹿ものというのが出てて、その差を比べたりするのもおもしろい。
志村けんのバカ殿って絶対に、こういった歌舞伎の演目が元ネタだと思うんだよな~ 実際。本人もお好きでよく歌舞伎座に来ていたというし。
実はね、毎回、生放送でステージをやった「8時だョ! 全員集合」の舞台装置って歌舞伎の舞台設計を手掛けた職人さんによるものなんだって。くるりと回ってシーンが変わるとか、まさに全ドリフ!
そう考えると「高坏」のドタバタの終わり方とか、あの♪ちゃらちゃ ちゃんちゃかちゃら すちゃらか すっちゃかか~♪というあのフレーズが聞こえてきそうじゃないですか?
とにかく無料配信は4月26日まで。急いで観て!