NorikoManiwaの風のまにまに

杉並在住アラフィフライターのポストコロナ生活

今を伝えるのが雑誌。未来につなげるのが雑誌。やられた! くやしい!と感じたこの3号

自宅から歩いて3分の場所になかなかいい感じのセレクトの書店があり、図書館が休館となり、駅ビルがずっと閉鎖された時期もずっと頼りにしていた。

Amazonで簡単に検索し、買えたとしても、手に取ってその質感と(紙質大事!)内容を吟味しながら選ぶほうが私は楽しい。ネットだったらたどりつけなかった、という思わぬ出会いもあるし。

書店は自分にとって娯楽施設。自粛中も混んでいたなあ。(本を読む習慣がついた人もいたようでうれしかった!)

ということでこの時代ならではの切り口での特集で、読者としても、作り手としても、やられた! うまい! と思ったのがこの3冊。はっきりいって地団太踏みたくなるほどくやしいです。

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まずはご存じHanakoのおこもり特集。

常に新しい切り口で(その手があったか…!的な)特集を組み、はっとさせられるのだけれど(私が担当した中では飲食店のカトラリーから学ぶインテリアという企画が秀逸だった!)おそらくメジャー誌のなかで初めて「お家で過ごす」をテーマにビジュアル特集を組んだんじゃないかな。

もしかしたらすでに進んでいた企画だったかもしれないけれど、「あの人のあの過ごし方」って宣言が出ている期間、一番気になっていたテーマだもの。

時間があるからこそできるゆっくりレシピとか、Netflix通のおすすめリストとか、そうそれ知りたかった!というコンテンツがちりばめられている。

 

あと取材も撮影もままならない状況だと、いかに連載が充実しているかがカギ。読むとこ多いのもうれしいよね。

 

ちなみにこの号、SDGsが第二特集でこれも読みごたえがあった。働き方特集は3号連続なんだって。

 

そして忖度なさすぎのLDK。まるまる一冊毛穴退治!

そして50にして初めて本気になったスキンケア事情を知るために選んだLDKの増刊号、LDK the Beauty。なんとまるまる1冊、毛穴対策に関して特集。すごいよね。この本気さ。そして「噂の血みどろピーリングがヤバすぎる!」とかあおりもすごい!

 

そしてLDKといえば忖度ゼロの辛口評価。(ひろ~い意味でのクライアントである)各メーカーの顔色をうかがいつつ描くことになれている自分には爽快でした!

だってね、「自然すぎて何も隠れない残念な仕上がり」とか「シワや毛穴にパウダーが入りボテットとした厚塗り感がでる」とかばっさばっさ斬っているんです。カ・イ・カ・ン!(知っている人は昭和の女)

 

私のお目当てはブックインブックの「シートマスク48製品ABC判定」だったんだけれど、これも一枚当たりの単価から、実際につけたときの透け感から(モデル着用!)、30分後の肌水分計測から、こまかく比較。

使っている製品がいい評価だったりするとほっとして「答え合わせ」としても楽しめます。すごいなあ。テストする女性誌LDK」…。

 

企画力、デザイン…これぞ雑誌の力!とうなるばかりのGQ

そして3冊めはGQの「166人と考えた『私たちはどう生きるか』」特集。

発行したばかりでこれが最後の一冊だったから、これを今読みたい、と共感する人はきっと多いはず。少なくとも荻窪では。

なにが悔しいって、まるまる1冊でこの特集を企画していること。

本当は中を見せるのはご法度なのだけれど、この大胆なデザイン、構成を見せないと驚きも伝わらないと思うのでアップします。(よいこはマネしないように!)

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YMOが夢の競演。時代を築いてきたひとたちの言葉は重みが違うなあ、とか、様々な世代、様々な立場の人からのメッセージが心に染みます。

メッセージはきれいごとだなとか、楽観的あるいは悲観的すぎない?とかいろいろだけれど、それぞれその人らしいのがいい。自分と同じ考え方しているのをみつけてうれしくなったりほっとしたり、こんな斬新な考え方があるんだ!と驚いたり。感情もゆすぶられる。

 

そしてどうです? このデザイン。このシンプルな言葉だけのページがずっと続くのです。これにもやられた! 過去の写真だのイラストだのではなく、今の今。写真もイラストもこれまた染みます。

 

そして小見出しにも注目。この短い文字数にぎゅぎゅぎゅっとまとめる力こそ、編集力。本文より大きな文字にして小見出しを目立たせるのが雑誌のセオリーだと思うのですが、この場合、大事なのはその人の発言、メッセージなので小見出しは目立たず添える程度で、これも悔しい。思いつかなかった…!

 

まだ読んでいない人のメッセージはたくさんあるので(デザイナーへの質問も読みごたえ十分)週末のお楽しみにします。

 

雑誌が今、できること。雑誌だからできること。

編集者はみんな、みんな悩みました。

取材も撮影もできない状況で、どうやって1冊を世に出せばいいかって。

 

ほとんどの場合がバックナンバーから再編集したり、今まで積み上げてきたことを今の時代に合うように調整しなおしたり、声を届けるべく識者にアンケートをお願いしたり…。GQのメッセージ特集のような企画も進めていたけれど(自分の担当する小さな規模でね。しかもまだまだ先の発行の)こんなに大胆で斬新な発想はなかった!

まだまだ自分が気付かない切り口ってあるんだなあ。

 

編集の仕事ってすごい!

雑誌の役割は、自分の力では出会えなかった「今」を編集し、「未来」につなげること。そう、しみじみ思うのです。